曲の紹介

「霧と話した」作曲:中田喜直、作詞:鎌田忠良

ソプラノ/アウトリーチ専門演奏家の永井友梨佳です♩

 

ネオクラシカルな日本のうたの曲解説シリーズ!

今回は、中田喜直作曲・鎌田忠良作詞の「霧と話した」です。

 

 

作曲の中田喜直さんって?

中田喜直(なかだ よしなお、1923年(大正12年)8月1日 – 2000年(平成12年)5月3日)

中田喜直は,戦後の日本で,親しみやすい歌曲や合唱曲を多く手がけた作曲家です。
「早春賦」の作曲者として知られる中田章あきらを父として,大正12年,東京で生まれました。東京音楽学校のピアノ科を卒業後,作曲グループ「新声会」に入って作曲を始め,26歳さいのときに「ピアノ ソナタ」が音楽コンクールの第2位に入賞します。その後は,ラジオ歌謡や童謡などの作曲家として活躍しました。

教育芸術者Websiteより引用

中田さん作曲の有名な曲は、「ちいさい秋みつけた」「夏の思い出」「めだかの学校」など。

こうやって並べてみると童謡や唱歌が多いですが、

素晴らしい芸術歌曲も多く作曲されています。

今回ご紹介する「霧と話した」も、このひとつです。

中田喜直さんは大好きな作曲家さんなので、また作曲家紹介の記事も書こうと思います…!

 

作詞の鎌田忠良さんって?

鎌田忠良(1939年8月30日~)
ノンフィクション作家。

鎌田さんは、ノンフィクション作家としてご活躍されているほか、

「霧と話した」の他に、作詞もいくつか手掛けられているようです。

実は、ネット上ではこれ以上のプロフィールが見つからず…

鎌田さんについてわかる方はぜひ教えてくださいm(__)m

 

「霧と話した」の歌詞

それでは歌詞をみてみましょう。

わたしの頬は ぬれやすい
わたしの頬が さむいとき
あの日あなたが かいたのは
なんの文字だか しらないが
そこはいまでも いたむまま

そこはいまでも いたむまま
霧でぬれた ちいさい頬
そこはすこし つめたいが
ふたりはいつも 霧のなか
霧と一緒に 恋をした

霧と一緒に 恋をした
みえないあなたに だかれてた
だけどそれらが かわいたとき
あなたは あなたなんかじゃない
わたしはやっぱり 泣きました

わたしの頬は ぬれやすい
わたしの頬が さむいとき
あの日あなたが かいたのは
なんの文字だか しらないが
そこはいまでも いたむまま

詩・鎌田忠良

中田さんの代表曲「ちいさい秋みつけた」や「めだかの学校」からは想像もつかないような

大人な歌詞です。

とても切ない、恋の詩ですね。

 

詩にちりばめられた「謎」

この詩には、なんともミステリアスな魅力があると思います。

それは、詩の中に小さな謎がいっぱいあって、

読み手の想像力が働くからだと思うんですよね。

 

たとえば1連目のこの部分↓

あの日あなたが かいたのは
なんの文字だか しらないが
そこはいまでも いたむまま

この部分だけでも、

「あなた」は何を書いたのか。手紙?

かいた内容が「なんの文字」かもわからない

「そこがいたむ」とあるけど、どこがいたいの?

と、たくさんのギモンが浮かび上がってきます。

でも、ここをどう解釈するか、どう想像するかがとてもおもしろい。

 

そして、逆にいうと、こうやって「謎」がいっぱいあることで

具体的な内容はわからないけど、自分に合わせた想像ができるので

多くの人が共感できる詩となっているのかもしれません。

ああ、私にもこんな恋があったなあ、というような気がしてきますよね…

 

美しき不穏さ

この詩につけられた中田さんの曲。

前奏からもう鳥肌がたちまくります。

私の中では、ひとりきりで、茫然としているようなイメージ。

そして、中田さんらしい「言葉」がダイレクトに伝わるメロディー。

詩の内容をしっかりと伝えながら、音楽によって詩をさらに深く表現していると思います。

 

また、2連目の「そこは いまでもいたむまま」からのピアノパートには

前奏と同じ音型が少し入ってきています。

2連目の歌詞の内容は、”一瞬の幸せ”をうたっているのですが、

前奏の音型が入ってくることでなんとも不穏な感じがして、

その幸せの崩壊を予期しているかのようです。

でも、ここの不穏さがとっても美しい…

 

霧がはれてみえるもの

さて、詩も曲もいちばん盛り上がるのは3連目です。

霧と一緒に 恋をした
みえないあなたに だかれてた
だけどそれらが かわいたとき
あなたは あなたなんかじゃない
わたしはやっぱり 泣きました

2連目では、霧の中だけど幸せなふたりが描かれていましたが

この3連目で「あなたは あなたなんかじゃない」「わたしはやっぱり 泣きました」

となり、切ない結果となってしまいます。

 

調性をみてみると、ここまでの1~2連目はf-moll(ヘ短調)なのですが、

この3連目でAs-dur(変イ長調)に転調します。

この悲しい場面で、長調の明るい響きになるんですね。

 

木下牧子さんの「ひばり」でも言及しましたが、

「本当の悲しさは明るい響きの中にある」というのがここでも言えると思います。

また、短調から長調になることで、霧が晴れていく感じもありますよね。

明るい響きの中で、霧が晴れて、本当の自分や「あなた」が見えてくる。

気持ちが大きく揺れ動く、曲がいちばん持ち上がる部分です。

歌詞も、それに連動して表現を倍増させている音楽も、本当に圧倒的です…

 

おわりに

個人的に、本当に大好きなこの曲。

でも、歌うにあたってはなかなかハードな曲だと思います。

曲と詩が本当に素敵で共感できて、たくさん表現をしたくなるのですが

気持ちが入りすぎてしまわないように冷静さを持ちつつ、

その中で表現をしていくのがとても難しい。

さらに精進が必要だな、と思わせてくれる一曲です(笑)

この曲をさらに素敵にうたえるように、もっと成長していきたいです…!

 

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永井友梨佳
声楽講師/ボイストレーナー。ソプラノ歌手。
鳥取県米子市出身。京都市立芸術大学音楽学部声楽専攻卒業。

ストアカ プラチナバッジ獲得講師。レッスン受講者からの評価は、平均☆4.97をいただいています(レビュー件数200件以上)
延べ30時間以上の解剖学の学びを活かし、ラクに気持ちよく歌える発声方法をお伝えしています♪

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