曲の紹介

「くちなし」作曲:髙田三郎、作詞:高野喜久雄

ゆりか先生
ゆりか先生
声楽講師の永井友梨佳です♩

 

ネオクラシカルな日本のうたの曲紹介シリーズ。

今回は、髙田三郎作曲・高野喜久雄作詞の「くちなし」です。

歌曲集「ひとりの対話」の6曲目(最終曲)となります。

 

 

作曲の髙田三郎さんって?

髙田 三郎(たかた さぶろう、1913年12月18日 – 2000年10月22日)は、日本の作曲家、指揮者。合唱曲を中心に作曲を行ったほか、自作を中心に指揮者としても活躍した。
高田三郎 – Wikipediaより引用

髙田三郎さんは、合唱曲、歌曲を多く作られた作曲家さん。

そして敬虔なクリスチャンでもあり、多くの日本語の典礼聖歌も作曲されました。

また、先日ご紹介した中田喜直さんと同じく、「蜂の会」にも参加されていました。

 

※「蜂の会」とは、詩人と作曲家の共同で、新しい歌曲の創造を目指して結成された会。合計で11回もの発表会が開催され、多くの新しい日本歌曲が生まれました。

 

作詞の高野喜久雄さんって?

高野喜久雄(たかの きくお、1927年(昭和2年)11月20日 – 2006年(平成18年)5月1日)は日本の詩人、数学者。新潟県佐渡出身。宇都宮農専卒。神奈川県立高等学校教諭(数学)を勤めていた。
高野喜久雄 – Wikipediaより引用

詩人であり、なんと数学者でもあった高野さん。

数学関連では「πのarctangent relationsを求めて」という円周率の著作もあります。。すごい。

 

「くちなし」の歌詞

では、歌詞をみてみましょう。

くちなし

荒れていた庭 片隅に
亡き父が植えたくちなし
年ごとに かおり高く
花はふえ
今年は十九の実がついた

くちなしの木に
くちなしの花が咲き
実がついた
ただ それだけのことなのに
ふるえる
ふるえるわたしのこころ

「ごらん くちなしの実を ごらん
熟しても 口を開かぬ くちなしの実だ」
とある日の 父のことば
父の祈り

くちなしの実よ
くちなしの実のように
待ちこがれつつ
ひたすらに こがれ生きよ
と父はいう
今も どこかで父はいう

高野喜久雄・詩

くちなしを通して亡き父を思い出す。

心にぐっと迫る詩です。

 

くちなしってどんな花?

さて、この曲のタイトルでもある「くちなし」

どんな木・花なんでしょう?


クチナシは梅雨どきに大型で純白の6弁花を咲かせて強い香りを漂わせ、秋には橙赤色の果実をつけます。この果実は黄色の染料として利用され、また漢方では山梔子(さんしし)として用いられていますが、熟しても裂開しません。つまり口が開かないことから「クチナシ」の和名がつけられたとされています。
クチナシとは – 育て方図鑑 | みんなの趣味の園芸 NHK出版 (shuminoengei.jp)より引用

白くてとても美しい花ですよね。

そして香りがとてもよく、ジャスミンに似たような香りだそうです。

また、実が熟しても開かないことから、「クチナシ」という名前がついたと言われています。

実はこんな感じ↓

実は、漢方として使われたり、黄色の染料としても使われます。

食べ物にも使われていて、たとえば栗きんとんの黄色を出すために使われたりもするみたい。

 

くちなしの実のように

くちなしについて少し知ると、詩をもっと深く理解することができると思います。

特に、終盤のところ。

くちなしの実のように
待ちこがれつつ
ひたすらに こがれ生きよ
と父はいう

くちなしの実は、自分から開くことはありません。

なので、鳥や動物に食べてもらって初めて種としての役割を果たせるんですよね。

 

自分から開くことはないけれど、じっとその場で熟していって、機を待つ。

たとえ同じ場所にいたとしても、自分の内側はどんどん熟していくことができる。

そんなことを父は言っていたのかな、と想像してみました。

 

なんだか、今の自粛生活にも通じるところがありますね。

なかなか外に出られない、人に会えない生活が続いていますが、

くちなしの実のように、じっと熟しながら

気長に、粘り強く生きていきたいな。

 

曲から伝わる想い

この詩につけられた髙田さんの曲は、とても穏やかながら言葉がダイレクトに伝わってきます。

日本語のイントネーションが自然にメロディーになっていて、喋っているかのよう。

 

特に、父の言葉の部分が最高に素敵です。

「ごらん くちなしの実を ごらん
熟しても 口を開かぬ くちなしの実だ」

この部分だけ3連符が多用されており、音域も低く、音の跳躍もなくなります。

本当に「父」がリアルに喋っているようです。

訥々としていて、少しぶっきらぼうな感じもあって、でもそれが親子の感じなんだろうな、とか。

 

そしてその直後、

とある日の 父のことば
父の祈り

では一変して、跳躍も大きく、とても劇的なメロディーになっています。

ここのギャップは本当に鳥肌がたちます…。

父を思い出して、ぐっと押し寄せてきた想いが伝わってきますよね。

 

作曲家と作詞家の出会い

作曲の髙田三郎さんが、詩人の高野喜久雄さんと出会ったのは

NHKから芸術祭のために合唱曲を委嘱されたことがきっかけだそう。

それから、髙田さんは高野さんの多くの詩に作曲をされました。

特に合唱組曲「水のいのち」は人気ですよね。

 

ちなみに、この「くちなし」が入っている歌曲集「ひとりの対話」は、

1965~1971年に作曲されました。

髙田さんはこの曲たちをあくまで独唱曲として考えていたらしく、

のちに出来た合唱版は他の方たちによって編曲されたものだそう。

(でも合唱版もすてきですよね)

 

おわりに

今のご時世にぜひ歌いたい、穏やかながら感動的で、

勇気をもらえる一曲でした。

ちなみに、この歌曲集「ひとりの対話」

「くちなし」以外の曲は知らなかったのですが、詩を読んだらとっても素敵でした。

他の曲もぜひ歌ってみたいです(*^^)

 

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永井友梨佳
声楽講師/ボイストレーナー。ソプラノ歌手。
鳥取県米子市出身。京都市立芸術大学音楽学部声楽専攻卒業。

ストアカ プラチナバッジ獲得講師。レッスン受講者からの評価は、平均☆4.97をいただいています(レビュー件数200件以上)
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