曲の紹介

「サルビア」作曲:中田喜直、作詞:堀内幸枝

ソプラノ/声楽講師/アウトリーチ専門演奏家の永井友梨佳です♩

 

ネオクラシカルな日本のうたの曲紹介シリーズ。

今回は、中田喜直作曲・堀内幸枝作詞の「サルビア」です。

 

 

作曲の中田喜直さんって?

多くの歌曲や童謡、合唱曲を作曲された、日本のシューベルトとも呼ばれている作曲家さん。

詳しくはこちらの記事をどうぞ↓
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作詞の堀内幸枝さんって?

堀内 幸枝(ほりうち さちえ、1920年9月6日- )は、日本の詩人。
山梨県東八代郡御代咲村(現笛吹市)生まれ。本姓・千葉。大妻専門学校卒。結婚後、神保光太郎、深尾須磨子らの知遇を得て『四季』などに詩を発表する。現代詩人会会員。
堀内幸枝 – Wikipediaより引用

堀内さんは詩人で、その詩は多くの歌曲にもなっています。

中田喜直さんも堀内さんの詩に多く曲をつけていて、

歌曲だと「おかあさん」「あなたとわたし」など。

詩は男女の関係を描いたものが多く、大人な雰囲気があるな、と感じます。

 

「サルビア」の歌詞

では、歌詞をみてみましょう。

サルビア

サルビアは 赤い花だわ
その花は 血の色だわ
私は その花を見つめていたとき
急に愛の言葉を 口にしたのね

夏の風は あったかいわ
嫉妬する 熱風だわ
かん高い感情の中で とまどった
二人の顔に吹きつけていたのよ

サルビアの 花びらを
いっぱい ふりかけてちょうだい
真っ赤な色に ふちどられて叫んだ
あの時を もいちど 思い出したいの

堀内幸枝・詩

とても強烈な詩です。

恐ろしいくらいの情念、色んな感情が感じられます。

 

想像がふくらんで止まらない

この詩は、歌う人によって本当に違う解釈ができると思います。

 

なぜサルビアの赤を「血の色」だと思ったのか。

「急に愛の言葉を 口にしたのね」

愛の言葉は、なんだったのか。

「かん高い感情の中で とまどった」

かん高い感情とは、どんな感情だったのか。

「真っ赤な色に ふちどられて叫んだ あの時」とは

どんな時だったのか。何を叫んだのか。

詩にのめり込んでいくほど、想像がどんどん深くふくらんでいきます。

 

この曲は、私が大学の頃に出会って、大好きな曲となり、

それから何度も歌ってきています。

ですが、何度歌っても奥深く、表現が尽きることがありません。

 

そして、歳を重ねるごとに詩の解釈や表現したいことも変わってくるんですよね。

20代前半の頃は、ただただ激しく、感情にまかせて歌っていました。

でも最近は、内に秘めた情念というか、穏やかさの中にある怖ろしさみたいなものを

表現したいと思うようになってきました。

この詩は恋愛のことを描いていますが、

恋愛だけでなく、自分が経験してきた様々な感情、

その中でも、普段は表に出せないような、自分の奥の方にあるどろっとした何かを

表現できる、稀有な一曲だと思います。

 

中田喜直さんの真骨頂

この「サルビア」は、詩もさることながら、曲も最高に素晴らしいです。

2分にも満たない短い曲なのですが、

一度聴いたら忘れることができないくらい強烈な一曲。

 

特にうたのメロディーは、中田さんによる唯一無二のもの。

音の跳躍も結構あるのに、五連符や三連符を多用して

しゃべっているかのように、言葉が本当に自然に聞こえるんです。

なので、不思議と歌いやすく、感情がのせやすい。

 

そして中盤、「サルビアの花びらを いっぱいふりかけてちょうだい」から

短調から長調に転調して、曲調も変わるのですが、

ここがすごい。

長調の明るい響きになって、メロディーも穏やかなものになるのに

その後のさらなる感情の爆発を感じさせるというか、ぞくぞくする感じが止まらないんです。

この穏やかさが、もっともっと暗くどす黒い感情へのフラグというか…(伝われ)

ここを、いかに穏やかに、でも内面でぐつぐつ煮えるような感情で歌えるか、

これはこの先もずっと、私にとって大きな課題になると思います。。

 

そして忘れてはいけないのは、ピアノパート。

連符や和音の音数も多く、なかなか超絶技巧で、ピアニスト泣かせの曲です。

でも最高にかっこいい。いつか弾けるようになりたい…

そしてピアノの表現が占める割合もとても大きいので、合わせるのも大変な一曲。

でも、ピアノとうたがビシッと合った時は、超快感です。

 

しかし、本当に中田さんの、詩を解釈する力や、圧倒的な表現の幅を

思い知らされますね…

この曲が「めだかの学校」と同じ作曲者だとは…本当に信じられません。

このギャップこそ、中田喜直さんの魅力だと思います。

 

この曲の誕生エピソード

この曲は、1960年、中田喜直さんが37歳のときに作曲されて、

第4回蜂の会発表会で初演されます。

「蜂の会」とは、詩人と作曲家の共同で、新しい歌曲の創造を目指して結成された会で

合計で11回もの発表会が開催され、多くの新しい日本歌曲が生まれました。

中田さんも「この運動のおかげで、多くの女流詩人と出会って美しい詩を知った」と話しています。

この蜂の会で、他にも「むこうむこう」「鴉」「おかあさん」などの曲もうまれているんですよね。

 

おわりに

この曲は、中田さんの曲のなかで個人的に一番好きな曲です。

そして、この曲を知ってから

自分の中で、日本歌曲のイメージが変わったような気がしています。

それまでは、日本歌曲ってちょっと古臭いというか、

あまり共感のできないイメージだったのですが

かっこよくて、自分の感情をそのままのせることができる、

こんな曲があるんだ!と、衝撃的でした。

自分にとってターニングポイントとなった、大切な曲です。

 

真っ赤なドレスを着て、また歌いたいな~(*^^)

 

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永井友梨佳
声楽講師/ボイストレーナー。ソプラノ歌手。
鳥取県米子市出身。京都市立芸術大学音楽学部声楽専攻卒業。

ストアカ プラチナバッジ獲得講師。レッスン受講者からの評価は、平均☆4.97をいただいています(レビュー件数200件以上)
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